日本人なら最低限知っておきたいバンクーバーの日系カナダ人の歴史と文化人

ジョイ・コガワ

今回の記事はバンクーバーにあるFrogエージェンシーのAdvent Calendarの8日目の記事です。バンクーバーにまつわるトピックということで、少し堅いテーマですがバンクーバーの日系カナダ人の歴史と知っておきたい文化人について取り上げたいと思います。

私は就職活動の時にお世話になったソロモン氏から「ジョイ・コガワも知らないのかよ!」と言われてしまいました。(ジョイ・コガワ氏はカナダで有名な作家です。詳細は後述。)そういえば、大先輩にあたる日系カナダ移民の方たちのことを何も知らないことに気付きました。

※ソロモンは苗字が「フセイン」だったことにより、9.11のテロ以降就職にとても苦労するようになり、差別的な扱いもされたようです。(だからこそ彼の中で就職活動のノウハウが蓄積されていったわけですが。)それもあって、過去に同じように戦時中に迫害された日系移民にも深く感じるものがあったのかもしれません。

というわけで今回はバンクーバーに仕事をしに来た人、または留学しに来た人/これから来る人向けに、私のように「え?知らないの?」と言われないようにお伝えしたいと思います。

バンクーバーは日本から初めてのカナダ移民者が降り立った地

皆さん知っていましたか!?実はバンクーバーが日本人が一番最初にカナダ国内に降り立った地なんです!日系カナダ人となる永野萬蔵(ナガノマンゾウ)さんが1877年にニューウェストミンスターにやってきました。それから多くの日本人がバンクーバーに渡航し、スティーブストンやパウエル通り沿いには日本人街が栄えました。

白人からの差別に苦しみつつも、努力のかいあって白人社会に認められるようになった時に、(安倍首相が訪問することで今話題の)パールハーバーの奇襲で日米開戦が起こってしまいます。それから日本人は財産を没収され、強制収容所に入れられる、という大変な時代に入ります。戦争が終わると日系カナダ人にも市民権が与えられ、バンクーバーにも他の地域に飛ばされた日系カナダ人の方々が戻って来るようになりました。

超ざっくりと日系カナダ人の歴史をお伝えしましたが、少なくともそういった暗い過去があること、そして初めての移民者永野萬蔵と下で紹介するジョイ・コガワさんの名は覚えておきましょう!



ジョイ・コガワ(Joy Kogawa)氏と小説「Obasan」について

ジョイ・コガワ

上の写真のジョイ・コガワさんはバンクーバー出身の日系2世のカナダ人で、「Obasan」という小説を書いた作家です。このジョイ・コガワさんとObasanという小説のことは1社目の社長(先祖はドイツ系移民!?)ももちろん知ってましたし、バンクーバーで生まれ育った人はもちろん、カナダ人であれば大抵知っているようです。知っておくべき人物と本だと思います。

この「Obasan」はジョイ・コガワさんの戦時中の体験を基に書かれた小説で、第二次世界大戦前から戦中、戦後にかけて日本人コミュニティが受けた迫害、差別が書かれています。重いテーマですが発売された翌年1982年にはカナダ文学賞を取るほどカナダ文学界にも認められた作品です。またこの作品がリドレス運動という、第二次世界大戦中にカナダ政府から受けた迫害的行為の補償を求める運動の後押しし、1988年にカナダ政府に補償を認めさせる大きな貢献をした作品でもあります。

この「Obasan」はバンクーバー図書館にも置いてあるので、英語の勉強がてら冬休み中に借りて読んでみてはいかがでしょうか。小説が難しければ「Naomi’s Road」という小説の内容を簡略にして子供向けに書かれた絵本バージョンがあります。

またこのObasanの日本語訳も「失われた祖国」というタイトルで日本で発刊されています。(現在は絶版になってしまっているようです。図書館で借りるのもありでしょう。)

日本にいる間に「失われた祖国」を読めば、日系カナダ人の歴史についての準備はばっちりだと思います。

読書が苦手なら映画「バンクーバーの朝日」がおすすめ

読書は苦手という人は映画でも歴史を知ることができます。まだ記憶に新しい2014年に公開されたバンクーバーの朝日です。もちろんバンクーバーの朝日についての映画ではなく、「バンクーバー朝日」という実在した野球チームについての映画です。野球チームを通して戦争前と戦争に入っていった当時の日系移民が置かれていった状況が描かれています。

出演者も妻夫木聡、亀梨和也、上地雄輔などキャストも豪華ですので女性であればイケメン俳優を楽しみながら笑、勉強にもなる映画です。(映画の宣伝で当時バンクーバーに出演者が来てて女の子が集まってキャーキャー言ってたという噂を耳にしたことを思い出しました笑)

その他チェックしておきたい資料

ざっと知りたい場合は日系センター「日系カナダ人の歴史」

日系カナダ人の歴史をざっと知りたい場合は、バンクーバーにある日系センターWebサイトの「日系カナダ人の歴史」がおすすめです。時系列で書かれているので、いつ何が起こったか、一通り知ることができます。

日系カナダ人100年史 千金の夢

日系カナダ人移民100周年を記念して作られた「日系カナダ人百年史 千金の夢」という冊子があります。豊富な写真と共に日系カナダ人の歴史が綴られています。

千年の夢

バンクーバーの中央図書館では一年に一回、11月に図書館前で古本の販売をしているのですが、その古本セール品を物色しているときにこの本を発見しました。ちょうどソロモンから上記の如く突っ込まれた直後だったので思わず購入しました。

当時の様子を伝える写真が豊富で興味深いです。しかし約40年前に作られた冊子なので現在は少し手に入りにくいかもしれません。(写真は冊子に載ってた美人さんと当時の日本人学校)

ミス・2世コンテスト

初期日本人学校

日系カナダ人ゆかりの地を訪れてみる

もちろん今でも日系カナダ人のゆかりの地はバンクーバーに点在しています。ゆかりの地を訪れてみるのもいいと思います。

アレキサンダー、パウエル通り周辺

日本語学校

おしゃれなガスタウンにあるWater streetをさらに東側に突っ切ると、Alexander streetと通りの名前が変わります。Main Streetを超えてさらに進むと日本語学校が見えてきます。また一本南にPowell streetが通ってます。

戦前はこの一帯が日本人街だったようです。今では浮浪者がうろうろするちょっと治安が悪い地域になってしまっていますが、毎年夏にはパウエル祭という日系カナダ人主催の祭りが開催されその日は多くの人で賑わいます。私も今年の祭りに行きましたが、日本のようにいろいろな屋台が出ていて楽しめました。祭り当日は日本語学校も一般公開されています。

スティーブストン(Steveston)

steveston photo by Perry Quan

昔は漁港として栄えたスティーブストン。戦争前は最大の日本人街として、多くの日系カナダ人がここで漁の仕事をしていました。今でも漁港としても使われていますが観光地としても栄え、かつて日本人が多く働いた鮭の缶詰工場が博物館になっており、当時の生活が展示で見れます。美味しいフィッシュアンドチップスも食べられます。こちらも毎年7月にサーモンフェスティバルが開催されるようです。ダウンタウンから車で30分ぐらいで行けます。

今のバンクーバーでは日本人ということであからさまに差別されることはまずないですが、このような先人達の歴史、頑張りがあってこそ今の日本人にとっても住みやすいバンクーバーがあるんだということを私たちは知っておくべきだと思います。

と、ちょっと堅い内容になってしまいましたが(いつも堅いというツッコミは無しで笑)以上、Advent Calendar8日目の日系カナダ人の歴史と文化人についてでした!

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